ロシア・チェチェン戦争は628日間にわたりました。この戦争について書かれた『カフカスの小さな国』が小学館ノンフィクション賞の優秀賞を受賞し、今回緊急復刊されました。この本は、人口80万の小国チェチェンが大国ロシアの侵攻にどのように立ち向かったのかを描いています。チェチェン戦士たちは「独立と誇り」をかけて1年8か月にわたる戦いを繰り広げました。この本は、その戦いに極限まで接近した傑作ノンフィクションとして評価されています。
この本は、プーチンとウクライナの「未来」を読み解く鍵とも言えます。ウクライナ侵攻の原点は第二次チェチェン戦争であり、侵略される側からすれば「抵抗の原点」と位置付けられるでしょう。チェチェンの抵抗とウクライナの抵抗は相通じるものがあります。そして、少数者が持つ抵抗の思想と文化の中に、私はこれからの世界の未来を照らす光のようなものを感じます。
この本は、現地取材を通じて「ロシア支配」からの独立を目指して戦った人々の物語を伝えています。2022年2月24日、ロシア軍によるウクライナ全面侵攻のニュースが飛び込んできた瞬間、私は28年前のチェチェン戦争を思い出しました。ソ連崩壊により混迷を深めたロシアが、かつての栄光を求めてチェチェン戦争を引き起こしたのです。ウクライナ戦争はその延長線上にあると言えるでしょう。小国チェチェンは大国ロシアの侵攻に立ち向かった。この本は、その戦いを描いた傑作ノンフィクションで、プーチンとウクライナの未来を読み解く鍵となる。少数者の抵抗の思想と文化には、世界の未来を照らす光がある。現地取材を通じて戦った人々の物語を伝えている。ウクライナ戦争はチェチェン戦争の延長線上にある」といった感じです。