『トナカイの大地、クジラの海の民族誌 ツンドラに生きるロシアの先住民チュクチ』は、ロシアのチュコトカという地域に住む先住民族チュクチの生活や文化について紹介した本です。チュコトカはツンドラで覆われた地域であり、かつてはマンモスやケサイなどの生き物が存在していましたが、現在は絶滅してしまいました。しかし、野生トナカイや家畜トナカイ、海洋ではクジラやセイウチ、アザラシなどの海獣類が季節的にこの地域を回遊しています。チュコトカは世界でも海獣資源が豊かな地域の一つであり、先史時代の人々は海獣類の回遊路や繁殖地を見つけ、これらの動物を獲得するために海岸部に居住していたと考えられています。本書では、このような人類の歴史に思いを寄せながら、チュクチの生活や文化、彼らが海獣資源を利用する方法などが詳しく紹介されています。チュクチの暮らしや彼らが大自然と共に生きる姿に触れることで、私たちも自然とのつながりや共生の大切さを再認識することができるでしょう。