もし戦争が勃発していたら、アメリカ人1億人、ロシア人1億人以上、そしてヨーロッパ人数百万人もが犠牲になっていたかもしれません。自然災害や残虐な事件などはそれに比べれば小さな存在になってしまうでしょう。
この危機を分析したのが、グレアム・アリソンの『決定の本質 キューバ・ミサイル危機の分析』です。この本は、政治学の古典として知られ、1971年に初版が刊行されました。そして、1999年には新たな情報公開に基づいて全面改訂された第2版が日本で初めて翻訳されました。
この本では、アリソンが3つの分析モデルを用いてキューバ・ミサイル危機の政治的意思決定論を解き明かしています。これらを駆使することで、当時の米ソ首脳の行動や判断の裏にある謎を解き明かしています。
さらに、情報公開の進展により、秘密が解除されたことで新たな事実が明らかになりました。アリソンと歴史研究者のフィリップ・ゼリコウは、ケネディ政権内部の議論を秘密録音したテープを調査し、初版をほぼ全面的に改訂しました。
第2版には、渡邉昭夫東京大学・青山学院大学名誉教授による解説も収録されています。彼の解説によって、さらに深い理解が得られることでしょう。
この本は、キューバ・ミサイル危機の真実を明らかにするだけでなく、政治学の学習にも役立つ一冊です。その重要性から、長く読み継がれてきたベストセラーとなっています