本ページはプロモーションが含まれています
商品

人生と運命 1 新装版のご紹介

ロシア語会話・単語講座(カタカナ編)のブログ
人生と運命 1 新装版





「人生と運命 1 新装版」は、第二次世界大戦のスターリングラード攻防戦を舞台にした歴史小説です。物理学者の一家を中心に、兵士や科学者、農民、捕虜、聖職者、革命家などの架空の人物と、実在の人物であるヒトラーやスターリン、アイヒマン、独軍や赤軍の将校などが交錯し、圧倒的な迫力で時代が再現されます。

この小説は、戦争や収容所、密告といった恐怖が社会生活を支配するスターリン体制下で、人間の自由や優しさ、善良さとは何かを問いかけます。権力のメカニズムとそれに抗う人々の運命が描かれ、ソ連時代には「最も危険な本」とされました。この本は後世に向けた命がけの伝言とも言えるでしょう。

著者のグロスマンは、独ソ戦中に従軍記者として活動し、トレブリンカ絶滅収容所の実態を世界で初めて報道しました。一方で、故郷のウクライナで独軍占領下のユダヤ人大虐殺を経験し、母を失いました。彼は次第にナチスとソ連の全体主義体制の本質的な類似性に気づき、この本を執筆することになります。しかし、原稿はKGBによって没収され、著者の死後16年が経過した後に友人が秘密裏に原稿の写しを国外に持ち出し、出版されることとなりました。

以来、「人生と運命 1 新装版」は20世紀の証言として、ロシア文学の傑作として世界各国で版を重ねています。欧米や日本、中国などでも高い評価を受けています。この本は、戦争や独裁体制に抗う人々の運命を通じて、人間の尊厳や希望を問いかける重要な作品です。